2004年 07月 15日
ピアズ・アンソニーの書く、「魔法の国ザンス」シリーズは、愉快で一風変わったファンタジー小説です。 翻訳は、今のところ14巻まで出ていますが、1巻ごとに独立した話で、毎回主人公も違うので、1冊読むごとに満足できると思います。 (最近作では例外もあり) とは言っても、1巻の脇役が2巻の主人公だったりしますので、順を追って読んでいったほうがいいんですが。 さて、本シリーズの魅力ですが… まず、ファンタジーのくせに妙に理屈が通っているところ。 たとえば、1巻の『カメレオンの呪文』では、冒頭で、ザンスの国の住人は、 みんな1人につき1つだけ魔法の力がある、 ということが説明されます。ところが主人公のビンクにはそれがない。 彼はその謎を解くべく、旅に出るのです。 すべてがこんな風に、まず設定が説明され、それに反する事象が出てくる。 その謎を解き明かすことの連続で、話は進んでいきます。 僕がこのファンタジーを「推理小説っぽいなぁ」と思う理由です。 この人は他にも「キルリアン・サーガ」というSF3部作を書いているんですが、こちらも同じ手法です。 変わったエイリアンがゴロゴロ出てきて楽しめるうえ、2,3冊目はなんとエイリアンが主人公です。 次の魅力は、全編が明るいユーモアに満ちているところ。 翻訳不可能なダジャレも大量に出てくるようで、それを解説したサイトなどもあるようです。 たとえば、ニッケルサソリという怪物が出てくるんですが、後で それより強いドルサソリが出てくる、というように。 (ニッケル硬貨より ドル紙幣の方が高価ですよね?) とにかく 読中・読後感が良く、読んでる間中、僕はいつも澄み切った青空を見ているような気分にさせられます。 しっとりした情緒に欠ける、とか、女性キャラクターが美しく描かれすぎている、とか、批判はありますが、 この愉快さは、一度読んだら病みつきになると思いますよ。 できれば永久に続いて欲しい、お奨めのシリーズです。
by himaohimao
| 2004-07-15 17:19
| 小説本
|
アバウト
ひまおです。
by himaohimao カテゴリ
記事ランキング
以前の記事
検索
その他のジャンル
|
ファン申請 |
||