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2004年 08月 06日

『キャプテンスカーレット』

『キャプテンスカーレット』_a0032792_2025881.jpg

映画 実写版サンダーバード公開記念 第3弾

『キャプテンスカーレット』(1967年)をご紹介します。

前作「サンダーバード」の大成功を受けて、アンダーソン夫妻は、次なる作品を制作しました。
それがこの「キャプテンスカーレット」です。


内容は…

  時は2068年、世界政府大統領直属の特殊安全機構軍"スペクトラム"の宇宙船が火星に着陸。
  そこにはすでに宇宙生命体"ミステロン"の基地が存在した。
  彼らのビデオカメラを武器と誤認した火星派遣軍のチーフ、ブラック大尉はこれを攻撃してしまった。
  姿が見えず、再生能力を持つミステロンは、地球人を暴力的と判断し、地球に報復攻撃をしかけてきた。
  スペクトラム対ミステロンの戦いが始まったのだ。

  ミステロンの攻撃方法は間接的だ。
  死んだ人間を再生して操り、攻撃させるのだ。
  最初に操られ、全編を通してスペクトラムに敵対するのはブラック大尉。
  次にスカーレットが操られるが、彼は再度死亡したショックで自意識を取り戻した。
  しかしミステロン特有の再生能力は備わったままなので、
  キャプテン・スカーレットは、何度死んでも生き返る、不死身の隊員となって
  ミステロンと戦うのだった。
  
というお話。


もともとジュリー・アンダーソンには、人形劇に留まらない作品を作りたいという願望があったらしく、
今作のマリオネットは、実にリアルに作られています。

頭部にあった機構を小型化し、さらに一部を胴体内に移すことによって、人形を約7頭身まで
引き上げることに成功しました。

照明も暗くして、画面に緊迫感を出すとともに、人形ができるだけ人間のように見えるよう工夫しています。
実際、シルエットで映されると、一瞬 人間に見間違えて気持ちが悪くなるほどです。

ストーリーもサスペンス・アクション仕立てになり、明るいサンダーバードとは
かなり違う雰囲気になっています。


次にキャラクターの設定ですが、隊員を色分けすることで区別しています。

  ホワイト、スカーレット、ブルー、グリーン、ブラック、マゼンタ、グレイ などなど。

日本の戦隊物が色分けされているのは、これをモデルにしたからだと言われてますね。

司令官のホワイトは大佐、オペレーターのグリーンは少尉ですが、他はみな大尉です。

ここで疑問が湧いてきます。

英米軍の階級では、キャプテンとは大尉のことです。

ブルー大尉やブラック大尉たちは「大尉」と呼ばれているのに、スカーレットだけが
なぜキャプテンと呼ばれるのか。

試しに英語音声を聞いてみると、もちろん全員が「キャプテン誰それ」と呼ばれています。

このころの東北新社って、こういう「意訳?」が多いんですよね。
エンジェル隊(後述)のメンバーの名前も変えられてしまってるし。
まあ、まだキャプテンスカーレットはマシな方ですが。


次にメカの魅力いってみましょうか。

『キャプテンスカーレット』_a0032792_20255693.jpg

まず、スペクトラム本部が空中空母だというところに驚かされます。
特に羽根らしいものもないのに、高空に浮いているのです。
ミステロンに狙われないためなんでしょうが、昼も夜も雲の上に浮いているなんて、
いったい燃料代はいくらかかるのでしょうか。
あ、この時代は「未来の動力は原子力」の時代だったからいいのかな?


それから追跡戦闘車(Spectrum Pursuit Vehicle SPV)。(一番上の写真右)
装甲を厚くするために、操縦者は 車体後部に後ろ向きに座り、モニターで前を見ながら運転するという斬新な設計。


『キャプテンスカーレット』_a0032792_20264959.jpg

そしてエンジェル・インターセプター。
これには、ディスティニー、ラプソディー、シンフォニー、メロディー、ハーモニーの女性隊員たちが
搭乗します。
サロンのような待機室でエンジェル隊員たちが談笑していると、ホワイト大佐からの出動命令がはいり、
みんなが座っていたイスがそのまま上がっていって戦闘機に乗り込むシーンには驚かされました。

うろおぼえなんですが、エンジェル隊長のディスティニー・エンジェルは、任務のついでにパリ郊外に着陸して、
香水を買っていたような記憶があります。
このへんのオシャレな感覚は、夫人のシルヴィア・アンダーソンが大きくかかわっているような気がします。

他にも紹介したいメカはあるのですが、キリがないのでこのへんで。


で、恒例のツッコミ所です。

この作品は、完成度が高いので、作品の質自体にツッコむところはほとんどありません。

ただ、この作品から、脚本に、英国色と言うかアンダーソン色が濃くなってきます。

まず、相手を先に攻撃したのは地球人だということ。
客観的に見て、まず謝るべきはこっちの方です。
アメリカでは、こういう設定には まずしません。
非常にイギリスっぽいと思います。

それから口調が無意味にぶっきらぼうな点。
ホワイト大佐が部下にキツくあたるので、これはなにかの伏線か?と思っていると、
最後まで全然関係なかったりします。
このことは、後の実写作品「謎の円盤UFO」や「スペース1999」で人間が演じるようになると、
なおさら目立つようになります。
演出が硬いというか、なんかヘンなんですよね。
アンダーソン色としか言いようがありません。

そしてエンディングの絵!
絵画を連続して映していくんですが、どれもスカーレットがピンチに陥る絵でして、
えーつまりなんというか、かなりSMチックなんですな。
こればっかりは見てもらわないと分からないと思いますが、異様です。


とにかく、本作は、アンダーソンのマリオネーションの最高峰と言っていいでしょう。

英米では、作品群の中で一番の人気を誇っています。
日本ではサンダーバードのほうが人気が高いようですが。

サンダーバードがお好きな人なら、機会があればぜひ一見なさることをお奨めします。

by himaohimao | 2004-08-06 20:29 | 海外SFドラマ


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