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2004年 08月 11日

僕のショートショートの書き方

一休さんのぶしさんシヴァさんR_76さんのトラボケの書き方に触発されて、私も企業秘密(?)を明かしてしまおうと思います。


「ボケではなく、ショートショートとは何事だ」という疑問は全力でスルーさせていただくとして。


僕の場合は…


まずお題をよく読みます。(当然ですね)

で、そこから5W1Hを想像します。

第10回トラボケのお題を例に取ると、寝ている2人は
いつ、どこで、誰と、どのようにして 寝ているのか 考えるわけです。

未来か過去か、現代か。昼か、夜か、それすら不明なのか。そしてそれはなぜか。

家のベッドか、山で遭難した雪洞でか、次元のはざまでか。そしてそれはなぜか。

2人は人間なのか、異性なのか、同性なのか、夫婦なのか、恋人なのか、実は1人なのか、他にも人がいるのか。そしてそれはなぜか。

寄り添って寝ているのか、ケンカ別れのようにして寝ているのか、寝たと錯覚しているだけなのか。
また、うなされているとあるが、どのようなうなされ方なのか。
そしてそれはなぜか。


さんざん想像したら、頭の隅で常にそのことを考えながら、アイディアが降りてくるのを待ちます。
アイディアは、風呂やトイレに入っているときに湧いてくることが多いです。

これらの間に思いついたことは、どんどんメモしておきます。これ重要。すぐに忘れちゃいますからね。


そのアイディアですが、オチを思いつく場合と、途中のシチュエーションを思いつく場合とがあります。
ここでは前者を帰納法、後者を演繹法と呼ぶことにしますね。


◎帰納法

  オチが命ですから、それを生かすように筋立てを考えます。
  するとそこから、最もインパクトのある導入部が導き出されます。

  この方式の場合、どうしても構成が後回しになってしまいますから、
  勢いにまかせて いったん書き上げたあと、オチに結びつく伏線をできるだけたくさん張るよう心がけます。
  ネタバレしないように全力を尽くすのはもちろんです。

  アイディア1本勝負の短い話になることが多いですね。

  トラボケに参加した拙作のほとんどは、この方式で書きました。


◎演繹法

  話の途中であろうと思われる 面白いシーンが浮かんだときに、この方式を使います。

  そのシーンを細かいところまで思い浮かべ、お題に反する部分をドンドン切り捨てていきます。

  「そのシーンがこうだから、その前後はこうなる。すると導入部はこうなって、オチはこうなる」
  という具合に発想を膨らませていくわけです。

  この方式だと、論理的につながった話になるので、長くなることが多いです。

  ちなみに今回参加した拙作「天使のような奥様」が、このパターンです。


ここだけの話ですが、その途中で、「こう展開すると がぜん面白くなるけど、お題に反する」ということになった場合、
ちょっとくらいだったら お題のほうを無視しちゃいます。内緒ですよ。


最後にタイトルをつけます。というのは、最初に考えた仮タイトルは、たいていネタバレになってしまっているからです。
これにはいつも悩みます。人目を惹くけどネタバレしない、というのは矛盾した要求なんですね。
いつもネタバレを避けて 地味なタイトルをつけてしまいます。



さて、次に大事なのが推敲です。

僕は、ショートショート(トラボケを含む)には、以下のものが大切だと考えています。(一部 星新一氏より拝借)

  ・目を引く導入部

  ・読者をグイグイ引き込んで行く中盤

  ・意外な結末

  ・意外と感じたけど、思い返してみると納得ゆく伏線

これらを念頭において、推敲します。

一気に書き上げた作品は、まだまだ穴だらけです。
何回も読み返して、チェックしていきます。

「てにをは」以外のチェック項目は 以下のとおり。

  ・途中でネタバレしてないか。(オチを予感させるだけでもNGです)

  ・作品中に矛盾はないか。(もしもボックスがあればドラえもんは必要ない等)

  ・読後に読者を納得させられるだけの伏線が張れているか。(伏線は多ければ多いほど良いと思ってます)

推敲は、できれば書き上げてから1週間以上たっていることが望ましいです。
作品のことを忘れてしまっている状態で読むのが理想的ですから。
せめて一回眠ってから、頭がスッキリした状態で推敲したいものです。



あとは人に読んでもらって、率直な感想を聞ければベストですね。
ただしここで気をつけなければならないのは、その人の好みを把握しておく必要がある、ということです。

どんなによくできた戦闘機乗りの話でも、恋愛小説を専門に読んでいる人に感想を聞けば、
「面白くない」
と言われるのが当たり前です。

その人の好みを踏まえた上で、どこが面白く感じ、どこがつまらなかったかを聞いて、
こちらの中で翻訳してやる必要があります。

要は相手の好みに合わせ過ぎず、自分が書きたいものの範囲内で、人の感想を参考にする、ということです。
人は結局、自分の好きなものしか書けないものですから。



以上、僕が普段心がけていることをまとめてみました。

僕は抜けた人間ですから、これだけ気をつけたつもりでも、できたものは穴だらけなんですけどね…




追記… あと、これは希望なんですが、トラボケでは48時間という時間制限があります。
    これだと資料を調べる時間がないんですよねー。
    1週間とは申しませんが、土日を含めたうえで、もう少し執筆時間をいただけるといいなーなんて思ったりして。

    今回の「天使のような奥様」は、オカルトコメディということで、
    世界の神仏妖怪や、古代日本の土着の信仰、神道などについて調べたかったんですが、
    大きな本屋や図書館に行く時間がとれませんでした。

    また、妻から「舞台を中世ヨーロッパにしたほうがいいのでは」というアドバイスをもらいましたが、
    これも上記の理由から断念。
    想像で書いてしまうと、中世ヨーロッパに詳しい読者に違和感を持たれてしまいますからね。

    いえ、私の書いているものが、トラボケの本道からはずれているということは百も承知です。
    まあ こういう奴もいるんだな、程度に聞き流しておいてくださいな。

by himaohimao | 2004-08-11 06:07 | コラム


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